本研究では、行政国家の時代における政府の政治的・社会的応答性に関して、アメリカ連邦政府を事例として考察した。ここでいう政治的応答性とは、官僚制の組織や行動が政治家や執政部門の意向に応答的であることを示すものである。一方、社会的応答性とは、官僚制の組織や行動が社会を構成する個人や集団に応答的であることを示すものである。現代の先進各国においては行政国家化を背景として官僚制が自律化し、二つの応答性はともに十分に確保することが困難な状況にある。本研究では現代のアメリカ連邦政府を事例として、政治的・社会的応答性の動態を明らかにするとともに、応答性を確保するための取り組みと課題について考察した。
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