民主党政権期の環境政治の研究―新しい原子力規制組織の環境省設置を中心に

2014 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 26780096
• 研究機関: 立命館大学
• 研究代表者: 森 道哉 立命館大学, 公務研究科, 准教授 (40380141)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 環境政治 / 事例研究 / 政治過程

研究実績の概要

本研究の目的は、新しい原子力規制組織の環境省設置をめぐる政治過程の事例研究を通じて民主党政権期の環境政治を検証することである。
初年度の平成26年度の研究課題は二つに分けられる。第1に、民主党内および政府内の政策決定過程と環境政治をめぐる研究動向を整理しつつ、原子力規制委員会および原子力規制庁に関する資料収集およびその分析を行った。具体的には、主要な政策決定者それぞれの意図や行動の概要を、関係者自身の手による著書や、新聞各紙および国会会議録のデータベースを用いて把握しようとし、かつそれらの情報をクロスさせることにより、この政治過程の概観を得ようとした。また、この政治過程に関する文脈をより深く理解するために、民主党の野党時代における環境、エネルギーに関する政策への見解や、自民党、公明党などによる政権におけるそうした政策の内容の調査も進めた。
第2に、上述の文献、資料の研究と並行して、インタビューの実施対象者について検討した。特に、当該年度後半からはインタビューを開始する予定であったが、12月の衆議院選挙に伴うその実施環境の変化を受け、予備的な調査にとどまった。しかしながら、今後の研究に対して一定の協力を得られる見通しが立ったことは幸いであった。なお、その過程では、政治学におけるインタビューの方法についても理解を深めようとし、環境政治の研究におけるその用い方の意義と限界についても検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「（１）研究実績の概要」で記述した通り、本年度は二つの研究課題を進めた。第1の課題については、予定していた環境政治、民主党政権に関する先行研究を検討するとともに、研究補助員の積極的な活用により、新聞各紙、国会会議録のほか、専門誌・業界紙などにおける情報の収集および分析を開始することができた。これは第2の研究課題としてのインタビューの実施計画の修正を受けての代替的な作業として進められた側面もあるが（「研究計画調書」において「研究が当初計画どおりに進まない時の対応」として想定されていた手段の一つである）、予想していた以上に得られた情報は多く、全体的に見れば、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

最終年度の平成27年度は、データの収集、整理を進めつつ、インタビュー調査の実施を加速させる。また、それらの分析を通じて、研究課題の政治過程の特徴を先行研究との関係において位置づけていく。