近年、日本語での規範的政治理論の研究は進展が目覚ましい。だが、規範的研究のみが、政治理論だろうか。本研究では、近年英語圏の政治理論で盛んに論じられるリアリズム政治理論をめぐる議論を手がかりに、非規範的な政治理論のあり方を探った。まず、レイモンド・ゴイス、バーナード・ウィリアムズらのリアリズム論の批判的検討を通じて、そこに「政治を固定的なものとして捉える態度」と、「政治そのものを流動的・動態的に捉える態度」の2つが存在していることを明らかにした。第二に、闘技デモクラシー論やジル・ドゥルーズの思想などを援用することで、後者の方向をさらに推し進める方策を探った。
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