研究課題/領域番号 |
26780098
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
坂本 治也 関西大学, 法学部, 准教授 (30420657)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 市民社会 / NPO / NPO政策 |
研究実績の概要 |
本年度は、次年度以降の本格的な研究展開に向けた準備作業となるような資料文献レビューを中心に研究活動を行った。具体的には、とくに合理的選択論に基づいた議員行動研究についての文献レビュー、日本のNPO政策の変容に関する資料・文献調査、アメリカを中心とした諸外国のNPO政策の動向把握、市民社会研究の最新動向について把握、などである。加えて、次年度以降に実施するインタビュー調査のために、政治・行政関係者やNPO関係者とのネットワーキングを行い、さらに議員行動の計量分析をするための基礎データ収集作業も開始した。 また、情報収集やネットワークづくりの一環として、日本NPO学会第17回年次大会に参加し、政治・行政とNPOの関係を問う複数のパネルでの議論に参加して、さまざまな知見を得た。とりわけ、議論の過程で知るに至った「非営利法人の選挙活動・政治活動の制限に関する規定は、法人格によって大きく異なっており、それは自民党との関係性の近さによって説明できる部分がある」という事実は、日本のNPO政策が政治的利害を強く反映した形で構築されている可能性が高いことを示すものであり、重要な発見であった。 具体的な研究成果としては、アメリカにおけるNPOの政治活動の考察を基に「NPO政治の陥穽?―米国Parent Revolutionの事例から考える」を執筆し、市民活動総合情報誌の『ウォロ(volo)』上で発表した。また、現在の日本のNPOと政治・行政との関連性について、独立行政法人経済産業研究所が実施した平成26年度「日本におけるサードセクターの経営実態に関する調査」のデータを用いて分析した「サードセクターと政治・行政の相互作用の実態分析―平成26年度サードセクター調査からの検討ー」という論文を執筆した(ただし、本年度内にはまだ公表されていないが、近日中に公表予定である)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿った資料・文献調査がかなりの程度行えたため、またインタビュー調査およびデータ分析の準備作業も行えたため、全体としておおむね順調に進展しているといえる。やや順調に進まなかった点としては、議員行動についての先行研究レビューが十分行えなかったことである。その理由としては、当該領域はこれまで本格的に研究したことがない領域であるため、文献調査の作業を効率的に行い得なかった点にあると思われる。今後は、当該領域に詳しい専門家に助言を請うなどして、より効率的に先行研究の整理検討作業ができるように留意したい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、何よりもまず、インタビュー調査の日程確保が重要であると考える。すでにインタビュー対象者の選定や予備的な接触は進めてはいるものの、インタビュー対象者は公職者や実務家ばかりであり、相手方の多忙な日程上の都合から、インタビュー日時を確保することが難しい面がある。日程調整交渉が順調に行かない場合は、次善の対象者を選定することも視野に入れつつ、効率的にインタビュー調査を実施していけるように留意したい。また、議員行動についてのデータ収集作業には多大な労力が必要となるため、アルバイト人員の確保にも努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力のためのアルバイト雇用を予定していたが、被用者の予定上の都合から、予定していた時間分、アルバイトに従事してもらうことができず、その分予算を完全に消化しきれなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額として残った分については、27年度内でのアルバイト雇用費として支出する予定である。27年度の使用計画としては、物品費280千円、旅費350千円、人件費・謝金159千円(上記「次年度使用額」含む)、その他20千円、総額809千円(当初使用予定額に「次年度使用額」を加えた額)の使用を予定している。
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