本研究の課題は、人道主義空間が近年の対反乱活動の展開の影響を受けて、どのように変容したのかを明らかにすることだった。本研究によって次のことが明らかになった。第一に、人道主義空間は冷戦後に突然変容したのではなく、脱植民地化後の第三世界での紛争により、傷病兵や文民への支援活動と国際人道法違反の監視活動に分離した。第二に、冷戦後に変容したのは、人道支援活動における治安維持のための軍隊との関係だった。特に、2000年代の対反乱活動が人道支援活動にとって深刻なジレンマを生じさせた。第三に、人道主義と対反乱活動の関係は歴史的に見れば、人道主義空間が国家から徐々に自立してきたことが判明した。
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