冷戦崩壊以降の約25年間にわたり、北極8か国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国)は、北極評議会を設立し、環境保護、持続可能な開発、気候変動の国際協力を行う北極協調体制を作り出し、これを維持することに成功してきた。最後の10年間(2007-2017年)は、気候変動に伴った地政学的変化並びに非北極諸国の北極への参入により、北極協調体制は存続の危機に直面したが、海洋の安全、ビジネス分野での国際協力を新たに加えることで存続の危機を乗り越えてきた。しかし、ウクライナ危機に端を発する欧米=ロシア関係の悪化は、北極協調体制の存続に暗い影を落としている。
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