研究課題/領域番号 |
26780106
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中谷 直司 同志社大学, 法学部, 助教 (70573377)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 経済外交 / 新四国借款団 / ウィルソン主義 / 日英同盟 / ワシントン会議 / 制度論 / 日米関係 / 日英関係 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、1.制度論の知見と、イギリス側の資料を用いての、新四国借款団交渉の意義の再検討、2.ワシントン会議における日英同盟の廃棄過程に関する論文の執筆・公表、3.第一次大戦後の日本の経済外交に関する経済統計の収集・データーの整理、4.第一次大戦後の日本の経済外交の「起源・形成・展開」をテーマとする論文公表のための資料収集と執筆準備、を中心に研究を進めた。
1.に関しては国際シンポジウムに英文ペーパーを提出の上、口頭報告を行った。日本、韓国、台湾から参加した外交史あるいは経済史を専門とする研究者から、多くの有益なコメントや質問を得ることが出来た。2.については、これまで収集していたイギリス側・日本側の資料に加えて、アメリカ側の一次資料の収集も行った上で、「同盟はなぜ失われたのか」『国際政治』180号、2015年3月として公刊した。本稿は、本研究課題の中心テーマである、第一次世界大戦を契機とする、東アジアの国際秩序の変容を、特に日米英の大国間関係を軸に明らかにする成果である。同時に、この議論のなかで、「支那富源の中心」を占めるイギリスの勢力範囲の「開放」を優先する経済的な関心が、日本の外交当局に、アメリカの反対に抗して日英同盟の存続を図るよりも、勢力圏外交秩序の解体を目指すアメリカ外交への協力を選好させた要因の一つであったことを指摘した。3.については、2名の研究協力者の助力を得て、ワシントン会議期から第一次幣原外交期を中心に収集・整理(デジタルデーター化)を行った。4.については、関連する資料の収集・整理と同時に、1.で述べた国際シンポジウムに参加した日本国内の研究者との研究会での報告・議論などを通じて、論文執筆を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.戦間期東アジアの国際政治経済史を主テーマとする国際シンポジウムで、新四国借款団交渉の意義を制度論の知見から再評価する英文ペーパーを提出の上、報告を行い、関連分野の日本、韓国、台湾の研究者と討論の機会を得たこと、2.東アジアの旧秩序の象徴の一つであった、日英同盟の終焉過程に関する査読付論文を公表したこと、3.関連する経済統計資料の収集・整理(デジタルデーター化)を、ワシントン会議から第一次幣原外交期にかけて進めたこと、4.本研究の中心課題である、第一次大戦後の日本の経済外交の「起源・形成・展開」について、基本資料の分析と論文執筆を進めたことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度となる平成27年度は、日本の経済外交の「起源・形成・展開」に関する論文を完成させる。この論文は、戦間期の東アジアの政治・経済史を共通テーマとする論文集に寄稿する予定である。その準備作業の一環として、5月末に、以上の論集に寄稿する研究者を中心的な参加者として、台湾・台北大学で開催される国際シンポジウムで、これまでの成果を報告する予定であり、すでにペーパーを提出している。 くわえて、これまでに得た研究成果の国際的な発信にも力を入れる。前年度の国際シンポジウムで報告した英文ペーパーの英文学会誌への投稿準備を行うとともに、日英同盟の終焉過程に関する本研究の知見を、7月にオーストラリアで開催される国際学会において、英文ペーパーを提出の上、報告する。 同時に、前年度にデジタル化した統計資料データーを、目的別に整理・グラフ化して、順次ウェブ上で公表する予定である。
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