研究課題/領域番号 |
26780118
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
平井 俊行 富山大学, 経済学部, 准教授 (00383951)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 排除可能公共財 / ゲーム理論 / 多主体間マッチング / 安定集合 |
研究実績の概要 |
(1) 排除可能公共財が不可分でかつ同一価格でのみ取引可能な場合安定な価格付けの存在について一定の限界がわかったので、取引の条件を緩めた場合を表現できるようなモデルである多主体間マッチングについて分析をおこなった。(共同研究)多主体間マッチングモデルおよび分析の内容は、排除可能公共財取引の文脈では次のように表現できる。多主体間マッチングモデルは排除可能公共財の消費については不可分(消費するかしないか)だが、例えば質や量のようなものを連続変数で表現でき、主体間での金銭移転も可能であるような場合を表現できる。主体の選好について特に条件を課さない場合、安定な取引の存在およびその効率性に対して、各主体がアクセス可能な排除可能公共財の構造のある種の非循環性が重要な条件となっていることがわかった。 (2) 前年度までに明らかにしたように不可分な排除可能公共財の同一価格による取引を考えた場合、市場需要関数のある種の非循環性が重要になっているが、各消費者がどのような選好を持っていればその非循環性が満たされるかについて考察した。排除可能公共財を一次元に並べることができ各消費者が単峰性を満たすような選好を持っていたとしても非循環性は保証されないことがわかった。 (3) 排除可能公共財の特殊ケースとしてとらえることができる特許の取引についての共同研究を進め、論文を完成させた。 (4) 前年度に引き続き社会状況の理論についての基礎研究を進めた。一般的なクラスの戦略形ゲームにおける先見的安定集合の特徴づけについての研究の学会報告をおこない、そこで得られたコメントなどをもとに論文を改訂した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不可分な排除可能公共財の市場における安定な取引価格の存在については昨年に引き続き未解決な部分を残してしまったが他の問題については一定の進展があった。具体的には、(i)排除可能公共財の取引方法の制約を緩めた場合を表現できるモデルとして、多主体間マッチングについて基礎的な分析をおこなった。(共同研究)(ii)排除可能公共財の特殊ケースの一つである特許の取引についての共同研究を進め、論文を一旦完成させた。(iii)本研究課題の基礎研究として、広いクラスの戦略形ゲームにおける先見的安定集合の分析について学会発表を通じて改訂し、論文を完成させた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)不可分な排除可能公共財の市場における安定な取引価格については今考えているものよりさらに弱い安定性を考えることで一般的な存在定理が得られないか試みる。 (2)多主体間マッチングモデルについて、排除可能公共財の取引を記述するうえで適切な選好の制約を課すことでより強い結果を得られないか試みる。 (3)本研究計画のまとめとして、これまでの研究結果を比較し、また相互の関連について検討する。 (4)これまでに得られた研究成果を学会発表などを通じて改訂していく。さらにワーキングペーパーとしての公開・査読付き専門誌への投稿をおこない研究成果の公開に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた出張のうち1件について旅費の大半をを先方に支出していただけることになったため、その分が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
従来の予定通り、研究報告のための出張旅費として使用する予定。
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