研究実績の概要 |
不確実性ショックの分析: 平成26年度は以下の分析を行った。第一に、アメリカのPanel Study of Income Dynamicsのデータを用いて、家計が直面する所得の不確実性を推定した。特に、これまでの推定方法を改善し、またデータの期間を延長することで、より信頼のおける推定結果を得ることに成功した。第二に、その推定結果から、不確実性ショックの特性を明らかにした。第三に、その不確実性ショックを、個人の異質性が存在する動学確率一般均衡モデルに与えることで、所得の不確実性の変動が景気循環に及ぼす影響を定量的に分析した。
分析の結果、不確実性ショックを導入したモデルは、既存のモデルでは上手く説明できない、現実のデータと整合的な雇用、労働生産性、そしてLabor Wedgeの変動を生み出すことが分かった。結果を論文にまとめ、Econometric Society of Australasian Meetingにおいて、'Time-Varying Wage Risk, Incomplete Markets, and Business Cycles'という題目で研究報告を行った。得られたコメントを基に論文を改訂し、KIER Working Paperとして公表した。
信用ショックの分析: 平成26年度は、異質な個人のポートフォリオ選択を含む動学確率一般均衡モデルを構築し、定常状態の分析を行った。
|