研究課題/領域番号 |
26780126
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
古川 雄一 中京大学, 経済学部, 准教授 (50510848)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際研究者協力(スイス、ポルトガル、中国、台湾) / 経済成長 / 金融政策 / イノベーション |
研究実績の概要 |
金融政策が経済成長に与える影響について、企業の自発的な参入・退出を通じた効果に注目した。新たな研究を行った。参入コストがゼロの場合は、名目利子率の上昇は、研究開発(R&D)活動を減少させ、イノベーション率や経済成長率の減少をもたらす。この結果は、既存研究と同じである。しかし、企業の参入コストが存在する場合、名目利子率の上昇は、実際に市場に出回るイノベーションの質の分布に影響を与える。そのようなチャネルを通じて、名目利子率の上昇は、経済成長率に逆U字型の効果を持つ可能性がある。つまり、経済成長率を最大化するような名目利子率が存在する可能性がある。さらに、アメリカ経済をターゲットにしたカリブレーション分析を行い、定量的に、経済成長率を最大にするインフレ率は、約3%である可能性を指摘した。これは、最近の実証研究と整合的である。この研究成果は、ディスカッション・ペーパーとして公表されている。この研究に加えて、本研究計画に新たなる発展をもたらすような、いくつかの論文を執筆、ディスカッションペーパーとして公開した。 以上の研究成果は、所期の計画通り、国際研究協力に基づいて進行している。具体的には、Angus Chu 教授(復旦大学)、Guido Cozzi 教授(ザンクトガレン大学)、 Chih-Hsing Liao(中国文化大学)、Antonio Neto (OECD, Lisbon)、Ana Paula Ribeiro(ポルト大学)との共同研究を行ってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金融政策の効果が経済成長を、定性・定量の両面から分析するという、所期の目的は達成されており、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。また、本課題のテーマは、企業の参入・退出率や、各国の文化・風土的な側面に注目するといったように、現在、さまざまな方向へと拡張されつつあり、当該分野のさらなる進展、新たな方向性の発見が起きつつある。研究成果の一部が公刊・公表されている点も評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
所期の目的は十分に達成されている。残る課題は、すべての研究成果を公刊することと、研究会・学会等を通じた分析結果の周知である。今後は、当初設定した研究テーマをもとに、あらたな方向性への進展を、さらに推し進める方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせのキャンセルのため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究打ち合わせを早急に計画する予定である。
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