研究課題/領域番号 |
26780127
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹内 あい 立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 実験経済学 / ゲーム理論 / 公共財供給ゲーム / 社会的ジレンマ / 罰則制度 / 情報 |
研究実績の概要 |
平成26年度は本研究の初年度にあたる。本研究を推進するにあたり、課題を【1. 絶対的罰則制度におけるフィードバック情報の影響に関する研究】【2. パーシャルモニタリングのもとでの絶対的・相対的な罰則制度の比較に関する研究】【3. 限定的なフィードバック情報のもとでの絶対的・相対的な罰則制度の比較に関する研究】の三パートに分け、一年ずつ時期をずらして行っていく予定である。 本年度は主に【1】を行った。ここでは社会的ジレンマにおいて、制度が規定するだけの協力をしなかった人は全員罰される絶対的な罰則制度に着目し、他者の選択結果に関するフィードバック情報が多い場合と少ない場合とで人々の行動がどう変化するかを、ゲーム理論と実験経済学の手法を用いて検証した。その結果、罰が十分に強く理論的には協力をすることが人々の理にかなう状況においても、被験者の意思決定を確認すると、選択を繰り返すごとに非協力行動を増加させる場合があった。この傾向は、情報量が多い場合の方が少ない場合よりも強く観察された。また、別の概念を使うことによって、これらの被験者行動を理論的に説明することも出来た。この研究の成果は、14th SAET Conference on Current Trends in Economics、第18回実験社会科学コンファレンスをはじめ、多数のワークショップやセミナーで報告をした。 【2】【3】については主に情報収集を行った。また【2】については経済学実験のための実験計画を作成した。この実験は平成27年度に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、【研究の実績概要】で述べたとおり3つのパートからなる。そのうち【1. 絶対的罰則制度におけるフィードバック情報の影響に関する研究】は、ほぼ予定通り実施した。予定していた学会以外にも、多くのワークショップやセミナー等で報告した。また、これらの研究報告等やサーベイを通じて、【3. 限定的なフィードバック情報のもとでの絶対的・相対的な罰則制度の比較に関する研究】の実験の準備も進んでいる。 しかし、昨年度実施する予定だった【2. パーシャルモニタリングのもとでの絶対的・相対的な罰則制度の比較に関する研究】の実験が実施に至らなかった。その主要な理由は、実験を実施予定だった所属大学では、被験者を集める簡便なシステムを構築出来なかったことにある。今回は、リクルートに手間取り実験に適した時期を逃してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
上述の【現在までの達成度】でも述べたように、申請者の所属大学には経済学実験を行う施設は揃っているが、被験者を集めるための簡便なシステムがない。そのため、昨年度は経済学実験を実施するに至らなかった。昨年度実施予定だった実験については、2015年度前期に他大学で実験を実施する予定である。 また、今後の実験をより短期間で実施準備を行うことが可能となるよう、所属大学の他の先生方と被験者プールを構築する予定である。被験者プールに実験実施に耐えうる人数が集まらなかった場合やシステム構築に支障があった場合には、本年度実施予定の実験についても、他大学での実験の実施も視野に入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は主に以下の2点である: 1. 【現在までの達成度】の箇所で述べたとおり、平成26年度に実施を予定していた経済学実験を実施することが出来なかった。そのため、実験の謝金(被験者への支払額ならびに実験補助のアルバイトへの謝金)がそのまま次年度へ繰り越しとなった。 2. 研究報告をしていく過程で、執筆していた論文に大幅な修正が必要なことが分かったため、1つ目の論文をまだ英文校正に出せていない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額が発生した理由に述べたとおり、使用していなかった金額は主に経済学実験のための費用と英文校正費である。これらは、今年度この使用用途のまま用いる。
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