主に三つの研究を遂行した。第一は前年度より継続して行っている第二言語選択についてのゲーム理論モデルの構築である。この研究における主要結果は以下のものである。人口が第2位以下の国の言語が基軸言語(すべての他国市民が第二言語として選択する言語)になりやすいのは以下の時である。人口が第1位の国の人口と比較して第2位の国の人口が大きい。人口が第3位の国の人口が大きい。人口が第4位の国の人口が大きい。外国語習得から得られる純利得が言語習得コストと比較し大きい。もし3か国しか存在しない場合、人口が第1位の国の言語が必ず基軸言語になる。本研究についてはディスカッションペーパー版をウェブページにて公開した。また、査読雑誌に投稿を行っている。第二は、需要についての不確実性がある寡占モデルの構築である。不確実性の性質を加味した寡占モデルはすでに多数存在しているが、本研究におけるそれは特に映画、音楽、小説、漫画などの文化財を取り扱うのに長けた性質を持っている。消費者は各自の異なった嗜好を持ち、また、トレンドにも影響される。このモデルにおいて、各企業の需要、設定価格、利潤などは、不確実性がない場合と大きな差はないという結論を得ている。本研究についてはディスカッションペーパー版をウェブページにて公開した。第三に、日本の地方自治体における公共調達についての研究である。この研究は滋賀大学の石井利江子准教授と共同で行っている。建設工事の入札において、落札額と工事後の成績の点数との間に有意な関係があるのかについて、データを用いて調査を行った。主要なデータ解析は終了し、現在、論文としてとりまとめ中である。
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