研究課題/領域番号 |
26780131
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
三上 真寛 明治大学, 経営学部, 専任講師 (40632120)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新制度派経済学 / ロナルド・コース |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,1930年代以降の新制度派経済学の形成・発展・変容の過程において,ロナルド・コースの経済理論が与えた影響を体系的に明らかにすることにある。本研究の3年目にあたる平成28年度は,当初の研究実施計画に従って,前年度の議論の体系化・精緻化の作業を継続し,海外学会報告,ジャーナル投稿に重きをおいた。 研究成果の中間発表として,平成28年9月にWorld Interdisciplinary Network of Institutional Researchの年次大会において"Coasean View of Human Behavior within the Institutional Context"と題する報告を行った。同報告ではロナルド・コースの経済理論における人間行動の理解が以降の新制度派経済学とは異なり,その端緒はコースの費用理論に見出すことができることを示した。これはコースが創始者の1人とされる従来の新制度派経済学の捉え方に対し異なる解釈を提示し,現代の新制度派経済学が再考すべき課題の1つを提起するものである。 同報告の内容は平成27年9月のEuropean Association for Evolutionary Political Economyで報告した内容("Coase's View on Costs as the Foundation and Limitation of New Institutional Economics")とともに,査読付きの海外学術雑誌へ投稿し掲載を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はこれまでに2回の海外資料調査,2回の国際学会発表を行い,一定の成果を収めつつある。しかし,成果発信には若干の遅れが生じており,査読付き海外学術雑誌への論文掲載に時間を要しており,平成28年度に計画していた日本国内での出版準備も遅れている。そのため,補助事業期間を延長し,当初目標のより精緻な達成を目指すこととした。 以上より,本研究課題の当初計画に照らせば,現在までの進捗状況はやや遅れていると判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,前年度から行ってきた議論の体系化・精緻化の作業を継続的に行いつつ,研究成果の発信にさらに注力する。これまで2回の国際学会で発表した内容,他の研究者や査読者からのコメントをもとに論文を精緻化し,査読付きの海外学術雑誌に掲載するほか,さらに成果を広く発信するため,日本国内での出版に向けた準備を進める。また,平成27年度から調査を見送っていた米国デューク大学図書館の資料(Douglas Cecil North Papers)についても,その後の他資料の調査によって相対的な重要性は低下しているものの,必要に応じ成果発信と平行して調査を行うことも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は米国デューク大学図書館(ノースカロライナ州ダーラム)にて資料収集を行う予定であったが,国際学会発表と査読付き海外学術雑誌への投稿に注力するため,調査を見送ることとなった。さらに,所属機関の国際学会参加渡航費助成などを活用して当初計画を効率的に進めた結果,直接経費を節約することができ,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,当初計画の継続のため,新制度派経済学関連図書の購入,査読付き海外学術雑誌への投稿料や英文校正費,複写費として使用するほか,海外資料収集のための外国旅費に充当する計画である。
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