| 研究課題/領域番号 |
26780133
|
|---|
| 研究機関 | 一橋大学 |
|---|
研究代表者 |
松下 幸敏 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50593589)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | セミパラメトリックモデル / 統計的推測 / 経験尤度法 |
|---|
| 研究実績の概要 |
第一に、「平均処置効果」及び「加重平均限界効果」のセミパラメトリック推定問題において、経験尤度法を用いた新たな統計的推測法を提案し、さらに評価関数が滑らかでないモデル（分位点回帰モデルなど）に拡張した。この結果は、Japanese Economic Reviewに掲載が決定した。
第二に、生成された独立変数を含むセミパラメトリックモデルの統計的推測法を提案した論文を改訂し、学術誌に再投稿した。本改訂では、提案した手法をセミパラメトリックモデルにおいて経験尤度を用いた統計的推測法の一般論の拡張として位置付け仕直し、またその実用上・理論上の利点について議論した。
第三に、高頻度データの経験尤度法による統計的推測法を提案した論文を改訂した。（共著者担当分の改訂を待って再投稿予定。）本改訂では、提案した統計的推測法の「経験尤度を用いた統計的推測理論」の中で位置付けを明確にするとともに、その有限標本性質を既存の手法と比較しながら、数値実験によって詳細に検討した。
第四に、セミパラメトリック・モーメント条件モデルのJackknife Empirical Likelihoodによる統計的推測法を提案する論文を執筆した。本論文では、一般のセミパラメトリック・モーメント条件モデルにおいてJackknife法と経験尤度を用いた統計的推測法を提案した。現在、理論部分をおおむね完了し、数値実験を進めている。
第五に、日本の戦前期のデータとセミパラメトリックモデルを用いた実証研究を行った論文を執筆し、Cliometricaに掲載を決定した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかのセミパラメトリックモデルにおいて新たな統計的推測法を提案するとともに、実際のデータを用いた実証分析を行った。結果、二本の論文が学術雑誌に掲載決定し、別の二本の論文は再投稿及び再投稿準備中である。研究を進める中で、理論の精緻化の必要と、より広範囲のセミパラメトリックモデルへの拡張の可能性が分かったため、期間を平成30年度まで延長してこの課題に取り組むことにしたが、本研究課題についてはほぼ予定通り進展していると考えている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
現在執筆中のセミパラメトリックモデルの統計的推測法に関するいくつかの論文を完成させるとともに、理論の精緻化とより広範囲のセミパラメトリックモデルへの一般化を行い、セミパラトリック計量モデルにおける統計的推測の一般理論の構築を目指す。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）統計的推測理論の構築に伴い、計算機による大規模な数値実験を行う予定だったが、実際には理論の構築が研究の中心となり、数値実験は小規模なものとなった。そのため、新たな計算機を購入する必要がなくなった。また、海外で打ち合わせを予定していた共同研究者と、他の学会等で複数回会うことができ、打ち合わせをすることができた。
（使用計画）新たな数値実験の費用と、共同研究者との研究打ち合わせ・研究発表のための費用に充てることとしたい。
|
