第一に、市区町村レベルの自殺率と社会経済変数の関係を明らかにした。具体的には、統計モデルの一致推定には動学パネル回帰分析の手法が有益であること、また男性では貯蓄率が、女性では生命保険支払額と女性失業者数と女性総労働力人口が、各性別自殺率と負相関することを示した。 第二に、都道府県レベルの職種・年齢・性別の就労人口数・自殺者数を記述統計・グラフ分析した。具体的には、職種別粗自殺率の複雑な年齢効果が自殺者数と労働力人口の年齢効果の違いから来ること、1998年以降の自殺率の急上昇は一部の職種が主たる要因であること、および地域ごとの傾向や異質性が強いことを明らかにした。
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