研究課題/領域番号 |
26780146
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川田 恵介 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (40622345)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地域乗数効果 / 地域労働市場 |
研究実績の概要 |
本年度ではまず各都道府県ごとに集計したデータを用いて、地方公務員数の変化、および先行研究で分析されている製造業従事者の変化が地域労働市場に与える影響について、回帰分析を行った。 単純な固定効果モデルおよびBarticショックを操作変数としたIV固定効果モデルを用いた推計結果から、公務員数の減少は、大都市部を除いたサンプルにおいて、地域労働市場(各都道府県の民間部門の就業者数)に負の効果を持つことが確認された。またどちらのモデルを用いても、推計された効果は概ね0.85付近の値を示し、この点において頑強な結果であるといえる。またこの結果は、地方公務員が一人削減されると、民間部門の雇用が0.85人程度減少することを示しており、地域乗数効果の存在を示す結果であると考えられる。対して製造業従事者の減少については、固定効果モデルのみで負の効果を持つことが確認され、頑強な結果とは言えない。 上記の結果は概ね理論予測と整合的であるが、本年の分析は小規模なデータに基づいており、その結論のがん強制については疑問が残る。このためより大規模な家計データを用いた推計を来年度予定しており、このためのデータ整備も引き続き行った。また先に述べた研究成果はRIETIで開催された研究会で報告しており、参加者から多くの有益なコメントを受けた。これらを踏まえ、推計戦略のさらなる精緻について検討を行い、来年度に行う分析内容についての研究計画の策定も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
集計データを用いた推計結果の導出、および理論モデルの作成についてはすでに完了しており、計画通りの進捗状況にあるといえる。対して家計データの作成については、関係省庁との交渉に時間がかかっており、予定よりも少し遅れている。しかしながら当該科研期間終了までには、データ作成および分析は問題なく終了できると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今期の前半中には家計データの整備を終了させる予定である。さらに後半では当該データを用いた統計的推定を完了させ、地域乗数効果の有無、及びその大きさについて、より頑強な結論を得る。その後理論モデルと推計結果を組み合わせることで、精緻な政策的含意を導出し、論文としてまとめる予定である。
|