本研究では、地方公務員の削減が地域の雇用に与えた影響について、就業構造基本調査を用いて推定した。推定の結果、地方公務員の削減が、地域の雇用に与えた影響は不明瞭であった。ただし補助的な分析として、公共事業への依存度が高かった建設業における雇用減少が地域労働市場に与える影響についても推定し、他産業における雇用を増やす、という結果を得た。この結果は、先行研究の存在する米国等とは異なり、労働力人口の減少が進む日本の地方においては労働供給制約が重要であり、産業間労働移動は比較的進んでいることを示している。
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