研究課題/領域番号 |
26780147
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村尾 徹士 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00645004)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 企業動学 / 産業動学 / 規制緩和 |
研究実績の概要 |
本年度は2つのプロジェクトについて研究成果を得ることができた.第1のプロジェクトは前年度からの継続である―このプロジェクトでは,企業規模分布を含む内生的成長モデルに基づき,参入規制緩和が生産性成長率に与える影響を構造推計と仮想政策シミュレーションによって調べている.2015年度は,前年度からの懸案であった均衡の存在に関する解析的な分析結果に進展が見られ,その結果を含めて幾つかの国内研究会・学会や国際コンファレンスにおいて報告を行った.とりわけ国際コンファレンスでは,経済成長論の世界的権威であるGuido Cozzi教授から肯定的評価と今後の改訂の方向性に関するコメントを得ることができたことが収穫であった.また第2のプロジェクトでは,Diamond-Mortensen-Pissarides流の労働市場サーチ・マッチング摩擦と内生的な資産不平等を含む企業動学モデルを用いて,インフレーションと失業率の関係をカリブレーションによって調べている.既に幾つかのシミュレーション結果を得ることができており,現時点での研究成果を論文にまとめて国際学会に投稿した.その結果,2016年度の European Economic Association(EEA-ESEM)と Econometric SocietyのAsia Meeting の2件の査読付き国際学会から採択された.また,以上2つのプロジェクトに加えて,今年度は新たに,労働市場サーチマッチング摩擦を含む国際貿易モデルを用いた,労働市場規制緩和に関する研究にも着手することができた.2016年度内には研究成果が出始めるものと期待している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1つ目のプロジェクトに関しては均衡存在に関する解析的分析と構造推計・政策シミュレーションの双方が終了し,ほぼ投稿可能な状況にまで持っていくことができた.また,2つ目のプロジェクトの研究成果は2016年度の国際学会(European Economic Association(EEA-ESEM)等)に採択され,順調に進展している.また以上2つのプロジェクトとは別に,労働市場政策と国際貿易に関する研究にも着手することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
1つ目のプロジェクトについては,論文を今年度の上半期に仕上げて投稿を行う.第2のプロジェクトについては,既に採択されている2つの国際学会にて報告を行い,そこで得られたコメントを元に改訂を行う.第3のプロジェクトについては,今年度中に国際・国内学会での研究報告を目指す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
大規模数値計算に用いるワークステーションの購入を計画していたが,購入を延期した.これはGPUの性能進化・価格低下との兼ね合いである.
|
次年度使用額の使用計画 |
GPUを搭載したワークステーションを次年度の初頭に購入する予定である.
|