本研究の目的は,企業規模分布が内生的に生じるシュンペータ型経済成長モデルを用いて,参入規制緩和が生産性成長率に与える影響を検討することである.既存研究では「参入規制の緩和は資源再配分を促進することを通じてマクロ生産性(成長率)を増加させる」とされてきた.そこで本研究では,2種類の再配分効果の両方を含むフレームワークを用いて参入規制緩和と生産性成長率の関係を明らかにした.主要な結論として,参入規制の緩和はこれら2種類の再配分効果に逆向きの影響を与えることが分かった.その結果,日本では限界的な参入規制緩和がマクロ生産性成長率を高める一方で,デンマークでは逆に低下させることが明らかになった.
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