研究課題/領域番号 |
26780152
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
本田 圭市郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (20707848)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際貿易 / RoHS指令 / REACH規則 / 費用関数 / 市場アクセス / マレーシア / ベトナム |
研究実績の概要 |
非関税障壁の企業への影響を、主に欧州における環境規制に注目し、日本、ベトナム、マレーシア企業に対するアンケート調査(アジア経済研究所)を用いて分析を行った。具体的には、EUにおいて施行されている電子・電気機器への規制であるRoHS・REACHが、ベトナムとマレーシア企業の費用構造と輸出の意思決定に対してどのような影響を持っているのか、定量的な分析を試みた。 分析結果から、RoHS・REACHにより約11~13%の費用の増加がみられ、これらの規制が非関税障壁として働いていることが明らかになった。ただし、これら規制に適応することでEU市場へのアクセスと企業の輸出市場数は拡大していることも同時に明らかになった。 また、グローバル・バリューチェーン(GVC)に参加し、海外企業と積極的に取引していることで、上記のような規制の対応をより進めているのではないかといった点についても分析を行った。分析の結果、輸出をしていることと共にGVCに参加していることが規制に対応するインセンティブとなっていることが明らかになった。 今後は、これらの分析をより精緻にすることを検討している。ひとつは、先行して行われた調査対象であるベトナム・マレーシアだけでなく、日本のデータも回収・整備を行い、同様の分析を行う。また、GVCについての現状の分析では、輸出の有無・GVCへの参加の有無のみを扱っており、その国における産業間の関係や川上・川下の位置関係を考慮できていない。この点については、産業連関表などの別統計の情報を加え、さらなる分析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アジア経済研究所によるアンケート調査データを利用(質問票作成時より協力)し、早い段階でデータ分析に入れたため、平成27年度に計画していた構造推定分析の一部(トランスログ型費用関数を用いた費用構造分析)を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在の分析の精緻化と、同様のデータを利用している研究者との視点・結果の共有を行い、新しい視点での分析を検討している。現在主に進めているのは、GVCの影響をさらに精緻化するための、産業連関表の活用である。海外との取引部門の連関データを利用し、海外とつながりの強さが、規制の対応の積極性にどの程度の影響を与えるのかについて、分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費について、アジア経済研究所より支出いただく機会が多かったため、予定額を大幅に下回っている。また、論文校正代についても、同様にアジア経済研究所より支出いただいた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、個人として研究報告の機会を多く設ける予定であり、その旅費として使用する。
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