研究課題/領域番号 |
26780155
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (30633474)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 産業集積 / 生産性分析 / エネルギー |
研究実績の概要 |
今年度では本研究の当初の計画に基づき、産業集積による生産性への影響について分析を中心に研究を遂行した。各統計表データの整理、接合を実施し、産業集積指標の作成を行うとともに、各種接合データより、事業所レベルでの生産性の推計を行った。当初の目的である、事業所レベルでのTFP変化の推計とともに、近年重要となるエネルギーに関しても考慮したエネルギー生産効率性の推計を行うことにも成功した。最終的には推計した各種生産性指標と産業集積指標との間で因果関係をシステムGMMを用いて行った。本年度の研究成果としては推計された生産性指標のなかでも、通常の生産性とエネルギーを考慮したエネルギー生産効率性を比較することによって作成したエネルギー効率性について、産業集積指標との関係性があることが、紙パルプ産業、セメント産業を対象とした検証により実証された。とくに紙パルプ産業においては産業集積指標とエネルギー効率性との間に正の関係性が示された。こうした結果はエネルギーを含めた総合的な生産効率向上に産業集積が貢献できる可能性を示唆する結果といえる。一方で本研究成果では地域のインフラネットワークなどより詳細な地域の立地状況を考慮する必要性も示唆され、今後の研究に有益なインプリケーションも得られた。また前述の研究成果を取りまとめ、国内外の学会等で成果を発表し、各分野の専門家などと広く本研究に関して議論を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段段階では当初の目的である、生産性の推計作業、産業集積指標の作成、そして生産性指標と産業集積指標との因果関係の分析まで研究を進捗することができ、途中成果として成果もすでに国内外の学会で発表を行っている。そのためこれまで研究で一定の成果を出すことに成功しており、全体の研究計画も順調に進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては現段階での研究成果を国際的な学術誌へ投稿するための準備を行うとともに、企業間でのTFPスピルオーバーを検証するための実証分析を追加的に行う予定である。現段階ですでに生産性の推計作業など、主要となるデータ分析は終了しているものの、研究を進める過程で、空間計量分析などの新たな方法を応用することで、より発展的な結果を得られることが推察されるようになった。そのため残された期間内でできる限り、新たな分析手法を応用し、より有用な研究成果を得るために、研究協力者や各専門家などとの協力のもとに課題の解決を図るように研究上の工夫を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生した理由としては、当初予定していた国際学会参加旅費が想定よりも多少少ない金額で済んだために、生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、当初の想定より研究補助作業量が多くかかることが見込まれるために、研究補助作業者に対する人件費・謝金として費目間流用を行い、より確実な研究進捗、最終的な結果の取りまとめに有効的に活用することを想定している。
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