研究課題
当該年度では研究計画の最終年度につき、これまでの研究成果に基づき、研究成果のとりまとめ作業を中心に研究活動を行った。これまでの研究により、産業集積の多面的な企業の生産性に対する効果について検証を行うことができ、実際にエネルギー生産性の観点から産業集積がエネルギー生産性に影響を与える可能性を示唆することができた。当該年度ではこうした前年度までの推計結果をもとに、実際に今後の産業集積についての考察や、本研究により新たに示唆された様々な産業集積の要因とその影響可能性について示すことができた。とくに産業集積によりエネルギー生産効率が高まる紙パルプ産業においては、ガスパイプラインや港湾といったさまざまなエネルギー利用の可能性を広げるインフラがある地域への産業集積が進んでいる点や産業集積地内でのエネルギー利用効率を高める施策の実施可能性など、産業集積が発生し、結果としてエネルギー利用を含んだ生産効率性を押し上げる可能性を示唆できた。一方で本研究で取り上げたセメント産業のように、産業特性上の問題により、産業集積がエネルギー生産効率性を上昇させる効果が期待できない産業もあることも分析の結果示された。そうした産業では原材料などの他の産業集積要因の重要性がエネルギーの効率利用という要因よりも高いために、産業集積が総合的な生産性を向上させない可能性があることを考察できた。また地域間のスピルオーバー効果については地域間での生産効率性の相関関係がそれほど十分に高くないが、明確な関係性の実証については今後の課題として引き続き研究を行うことを予定している。当該年度ではこうした研究結果をこれまでの学会等での発表を受けて、改良し、国際学会において研究成果を発表し、当該研究分野の専門家と議論を行うことができた。最終的には学会等でのコメントも含め、研究成果をワーキングペーパーをとして取りまとめた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Working paper, Social Design Engineering Series(Kochi University of Technology)
巻: SDES-2017-3 ページ: -