本研究では、実質為替レート(RER)変動の要因が異なるタイプの為替制度下ではどう異なるかという問いを取り上げ、ここ数十年間異なる為替制度を採用してきた韓国とタイのデータを用いて検証した。得られた主要な結果としては、ペッグ制と比べ変動相場制の下ではRER変動における為替レート特殊ショックの寄与度がかなり高くなる。また、RER変動において最も重要な要因は総需要ショックである。これらの結果より、為替制度設計において、ファンダメンタルズのショックへの調整のための為替レート伸縮性の確保と、為替レート特殊ショックによる為替レートの望ましくない変動の制限との間でトレードオフが存在することが示唆される。
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