本研究の目的は,環境規制と技術革新の関連性を様々な視点から分析することである。そのために、理論モデル、シミュレーションモデルの構築および実証分析を行った。第1の理論モデルでは、トップランナー規制とCAFE規制をモデル化し、環境規制が技術投資にどの様に影響しているのかを分析した。さらに、理論に基づくシミュレーションモデルを構築し、環境規制の強度(目標)と技術投資の関係を分析した。その結果、環境規制の目標設定によって技術投資への影響が異なることが明らかとなった。したがって、環境規制の種類ではなく、目標の設定が重要であることが明らかとなった。第2の実証分析では、産業別のCO2排出量およびSOXなどの大気汚染物質の排出量と技術の関連性を分析した。その結果、CO2の排出量は、生産規模が増減に大きな影響を与えている一方、大気汚染物質の排出量は、技術進歩によって削減されていることが明らかとなった。
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