研究課題/領域番号 |
26780166
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研究機関 | 文部科学省科学技術・学術政策研究所 |
研究代表者 |
枝村 一磨 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第2研究グループ, 研究員 (20599930)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 研究開発 / 企業パフォーマンス / 特許 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究開発活動の代理指標として特許データを利用し、欧米や中国、韓国、台湾(以降、中韓台と記す)と比較して日本企業の研究開発が世界的に高い水準にあるか否かを定量的に確認する。また、各国の特許データを活用し、研究開発の成果と企業パフォーマンスの関係を経済学的に分析する。具体的には、特許データを用いて、日米欧中韓台の出願人が出願した特許情報を抽出して整理し、出願件数等を出願国別、出願人国籍別、出願年別に集計する。次に、米欧中韓台における研究開発活動を考慮して、研究開発の成果が企業パフォーマンスに与えるインパクトを、生産関数アプローチを用いて分析する。本研究の意義は、日本の成長戦略等の政策を推進するために必要不可欠な分析結果を提供することにある。また、日米欧中韓台の特許データを利用して日本企業の研究開発活動や企業パフォーマンスを分析することは本研究が初めてであり、産業組織論や国際経済学分野の研究に大きく寄与することが期待される。 平成26年度においては、上記の分析を行うため、特許データベースと企業財務データの整理、統計分析モデルの構築を行った。具体的には、全部で7000万以上の特許情報を収録しているPATSTATから、特許の国籍および出願人国籍が日米欧中韓台である特許データを抽出し、出願人レベルおよび出願年レベルで整理した。また、日本企業の研究開発活動を分析する上で欧米および中韓台の研究開発活動を考慮するため、ビューロ・ヴァン・ダイク社ORBISから企業財務情報を抽出し、企業レベルおよび年レベルで整理した。さらに、統計分析を行うための分析モデルを、生産関数アプローチを応用して構築した。 平成26年度には特許データおよび企業財務データを企業レベルおよび年レベルで整理して分析用データを作成した。この作業は平成27年度に予定している統計分析を精緻に行う上で、とても重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画では、世界各国の特許データを収録した特許データベースPATSTATから、出願国および出願人国籍が日米欧中韓台である特許情報を抽出し、出願人の国籍別、出願先国別、国際特許分類に基づいた技術分野別に、出願年で整理することを予定していた。また、平成27年度に行うことを計画している統計分析(欧米中韓台における研究開発活動を考慮して、研究開発の成果が企業パフォーマンスに与えるインパクトの統計分析)を行うに当たり、生産関数アプローチに基づいた分析モデルを構築することを予定していた。 平成26年度においては、上記「研究実績の概要」にも記したように、特許データベースと企業財務データの整理および統計分析を行うための分析モデル構築を行った。具体的には、世界の特許情報を収録しているPATSTATから、特許の国籍および出願人国籍が日米欧中韓台である特許データを抽出し、出願人レベルおよび出願年レベルで整理した。また、日本企業の研究開発活動を分析する上で欧米および中韓台の研究開発活動を考慮するため、ビューロ・ヴァン・ダイク社ORBISから企業財務情報を抽出し、企業レベルおよび年レベルで整理した。さらに、統計分析を行うための分析モデルを、生産関数アプローチを応用して構築した。以上より、平成26年度においては研究実施計画どおりに達成しており、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、研究開発活動の代理指標として特許データを利用し、欧米中韓台と比較して日本企業の研究開発が世界的に高い水準にあるか否かを定量的に確認することと、各国の特許データを活用し、研究開発の成果と企業パフォーマンスの関係を経済学的に分析することである。 平成27年度は、平成26年度に作成した企業レベルおよび年レベルの分析用データと、生産関数アプローチを参考にした分析モデルを用いて、統計分析を行う。特許データについては、最新年のPATSTATを購入し、アップデートする。 統計分析において得られた研究成果は、国内外の学会で報告する。特許データや企業の財務データを用いた分析をテーマとする学会や、イノベーションをテーマとする学会等において、国内外を問わず報告を行う。また、得られた成果は、学会等での議論も必要に応じて随時反映しつつ、日本語または英語によるディスカッションペーパーとして発表する。さらに、得られたコメント等を踏まえて、ディスカッションペーパーを学術論文として構成し、国内外専門誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高性能コンピューターを購入する際、為替変動の影響で価格が変動したため、当初予定していた額とは異なるコンピュータを購入した。そのため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額は、本研究において得られた成果を発表するための学会参加費として使用する。
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