• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

企業研究者の移動に伴う技術知識の流出に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26780167
研究機関独立行政法人経済産業研究所

研究代表者

山内 勇  独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員 (40548286)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード発明者 / 技術流出 / 技術知識 / ノウハウ / 特許
研究実績の概要

本研究の目的は、特許の発明者データを用い、我が国の発明者の国内企業及び海外企業への異動状況を追跡し、競合企業への異動の決定要因や移動後の当該発明者の生産性の変化、及び、異動先企業への技術知識の移転状況を把握することである。
特許データから発明者の移動状況を把握するに当たり、同姓同名の問題に対処するため、今年度はまず、Yamauchi et. al(2014)において、電話帳の中で同姓同名がいない名前(ユニークネーム)のみを対象とした分析を行った。そこでは、日本人の名前の70%以上がユニークネームであり、また、名前によって生産性が変わらないことが確認されている。
この手法を用いて、山内他(2014)では、日本人発明者の韓国企業への移動の決定要因とその影響を分析した。分析の結果、韓国企業に移動した日本人発明者は、生産性の高いシニア発明者と、生産性の低い若手発明者に2極化していることが分かった。特に、製法特許を出願している発明者ほど、移動確率が高いことも確認された。また、生産性が高い発明者が移動した場合、彼らの移動後の特許出願が、日本企業の特許出願の拒絶理由となることが多く、人材流出による競合企業の技術競争力の上昇効果は大きい可能性があることも明らかとなった。これらの分析結果は、韓国企業が、付加価値を付けた製品投入のスピードを高めるという短期的目的と、先端技術の開発力を高めるという長期的目的を明確に使い分け、製品開発戦略の一つの手段として人材活用を行っていることを示唆している。
この研究は、日本企業が先端技術の開発力を高めていくうえでの、人材・ノウハウ管理モデルの再構築の必要性を提言している点、また、人材移動による研究開発活動への負の影響を、競合企業の特許出願によるブロッキング活動の観点から評価している点において、独創的かつ意義のある研究である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の目標は、データセットの構築と基礎的な集計・図表による分析であった。これらの目標は計画通り達成されており、その成果はYamauchi et. al(2014, IIPR Discussion Paper)や山内他(2014, 日本知財学会誌第11巻2号)にまとめられている。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、ユニークネームを教科書データとして、アルゴリズムを用い、対象国を増やしつつ、より大規模なデータセットの構築を図る。同姓同名を自動で判別するアルゴリズムの設計は各国の研究者が取り組んでいる課題であり、それらを踏襲しつつ、特許データに含まれる名前以外の情報(技術分野、引用情報等)を利用して行う。そうして構築されたデータセットを用いて、発明者の移動が生産性に与える影響に関する、より詳細な分析を行う。特に、移動前後の研究分野の変化、共同発明経験の違いによる移動の効果の違い、移動元企業の研究開発活動に対するブロッキング効果に着目した分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

いくつかの物品について、申請時の見積額より安く購入できたため。

次年度使用額の使用計画

予算の制約により購入を諦めた書籍を購入するために使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] How to trace mobile inventors in the Japanese patent data? A unique name approach2014

    • 著者名/発表者名
      Isamu Yamauchi, Koichiro Onishi and Takamasa Suzuki
    • 雑誌名

      IIPR Discussion Paper 2014-01

      巻: - ページ: -

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 日本人発明者の移動と技術流出リスク-韓国企業の人材活用モデル-2014

    • 著者名/発表者名
      山内勇、枝村一磨、角山史明、隅藏 康一
    • 雑誌名

      日本知財学会誌

      巻: 11 ページ: 47-65

    • 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi