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2014 年度 実施状況報告書

個人の時間配分と健康

研究課題

研究課題/領域番号 26780168
研究機関東北大学

研究代表者

井深 陽子  東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20612279)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード時間配分 / 機会費用 / 健康 / 景気変動
研究実績の概要

研究初年度は時間配分が健康に及ぼす影響を分析することと関連し、景気変動が健康に及ぼす影響に関して1998年から2010年の国民生活基礎調査の個票データを用いて分析を行った。個人の時間配分の変化の一部は、景気の変動により生じると考えられる。景気の変動は個人にとって外生的な変化であるため、景気変動が健康状態にどのような影響を与えるかという問いに対しては、観察データを用いても統計的に因果関係を導出することが可能である。このため、内生性が強く懸念される時間配分の決定と健康状態との関係を分析することに比べ、精緻に因果関係を把握できるという分析上の長所がある。これまでの分析の結果、アメリカのデータを用いた先行研究で強く観察された、景気が悪化すると健康指標が改善の方向に向かうという影響は、日本のデータを用いた分析では、多くの健康指標でその影響が統計的に検出されなかった。しかし、年齢・男女別・世帯支出額別でのサブサンプルでの分析の結果では、景気の健康に対する影響が検出されたグループもあった。アメリカの研究では、景気変動の健康に対する影響は、特に働いている個人に対して強く出ていることから、景気変動に伴う機会費用の変化を通じて時間配分への影響がおこり、その結果健康に対して影響が起こるというメカニズムが示唆されていた。しかし、日本のデータを用いたサブサンプルでの分析の結果、一部グループに見られる景気と健康状態との間の関係をとりもつメカニズムは、景気の変化が労働時間の調整を通じて健康に変化を与えるというアメリカで見られたメカニズムとは異なる可能性が示唆された。研究成果は国内学会と国際学会で報告予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在のところ、時間配分を外生的に変化させる要因の一つである景気の変動と健康状態の関係について、実証分析と分析結果のまとめが終了し、順調な進行をしているといえる。

今後の研究の推進方策

2年度目は社会生活基礎調査の個票データを用いて、労働時間とそれ以外の時間という大きな枠組みを超えた個人の時間配分の詳細と健康の関係について研究を進める予定である。分析が進行するにつれて、個人の時間配分と健康の関係を分析するためには、日本の複数の政府統計のデータを用いて異なる角度から分析を行うことが、時間配分と健康の複雑な関係を観察データから分析するための効果的なアプローチであると考えられ始めたことから、申請書に記述したアメリカの個票データを用いた分析という当初の研究計画から、日本の複数のデータに基づいた分析へと計画を変更する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Dynamics of Health and the Economy over Time in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Yoko Ibuka, Junya Hamaaki
    • 学会等名
      Congress of the International Health Economics Association
    • 発表場所
      ボッコーニ大学(イタリア、ミラノ)
    • 年月日
      2015-07-12 – 2015-07-15
  • [学会発表] Dynamics of Health and the Economy over Time in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Yoko Ibuka, Junya Hamaaki
    • 学会等名
      日本経済学会
    • 発表場所
      新潟大学(新潟県、新潟市)
    • 年月日
      2015-05-23 – 2015-05-24

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公開日: 2016-06-01  

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