日本は2009年度税制改正において、外国子会社配当益金不算入制度を導入し、日本企業が海外子会社から受け取る配当を一定の条件の下で非課税(益金不算入)とした。その結果、日本の法人所得に関する国際課税制度は、それまでの外国税額控除方式から国外所得免除方式へと移行した。
平成28年度は、研究期間の始めから取り組んできた論文“The Effect of Moving to a Territorial Tax System on Profit Repatriation: Evidence from Japan”を国際学術誌からの改訂要求に応じて改訂し、再投稿した。その結果、再度改訂要求が返ってきたため、再投稿に向けて論文の改訂を行っている。別の国際学術誌に再投稿中であった論文“Investor Valuations of Japan's Adoption of a Territorial Tax Regime: Quantifying the Direct and Competitive Effects of International Tax Reform”についても、再度の改訂要求が返ってきたため、再投稿に向けて論文の改訂を行っている。
上記の研究と並行して、国際課税制度(国際的二重課税の調整方式)が多国籍企業の経済活動(海外直接投資、利益還流、海外合併・買収、本社の海外移転、所得移転など)に与える影響を実証的に分析した先行研究のサーベイを行った。そして「国際課税制度が多国籍企業の経済活動に与える影響」という題目の論文を作成した。論文では、サーベイした先行研究を解説し、日本の外国子会社配当益金不算入制度の政策的評価について考察した。この論文は2016年10月にフィナンシャル・レビューに掲載された。
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