日本は2009年度税制改正において、国内の親会社が海外子会社から受け取る配当を一定の条件の下で非課税とした。その結果、日本の国際課税制度は、国外所得を原則非課税とする国外所得免除方式へと移行した。本研究では、国外所得免除方式への移行が多国籍企業の企業価値や海外子会社からの配当送金に与える影響を実証的に分析した。分析の結果、内部留保を蓄積していた海外子会社がこの税制改正に反応して、親会社への配当を増加させたことを明らかにした。さらに税制改正後は海外子会社の配当送金は、投資先国が課す配当への源泉徴収税率により強い影響を受けるようになっていることも示された。
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