研究課題/領域番号 |
26780176
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研究機関 | 尾道市立大学 |
研究代表者 |
大野 太郎 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (90609752)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロ・シミュレーション分析 / 記入値 / 理論値 |
研究実績の概要 |
近年、税・社会保障分野でも家計マイクロ・データ(調査票情報)を用いた分析が増えている。このとき、使用される税負担額には(1)調査票に記載された「記入値」を用いる場合と、(2)調査票情報を利用しつつモデルから算出される「理論値」を用いる場合がある。近年盛んなマイクロ・シミュレーション分析も理論値のケースに該当する。本研究では家計の税負担額について記入値と理論値の比較や双方の乖離を捉えながら理論値の妥当性を考察することである。 平成26年度は厚生労働省『国民生活基礎調査』を利用し、家計の税負担(所得税・住民税)を対象に記入値と理論値を比較することを通じて理論値の妥当性を検証した。研究成果の主な内容としては、まず記入値と理論値の比較や双方の乖離に関する分布を考察することを通じて、所得税・住民税における記入値と理論値の乖離は平均がゼロ、散らばりが対所得比3%程度であることが示された。また、乖離の発生要因として税額の記入ミスによる影響が頻度として高いことや、調査票の記入ミスとして「事業所得などに関する誤記入」や「税額の桁間違いによる誤記入」が乖離率に影響を与えていることが確認された。考察からの示唆として、マイクロ・シミュレーション分析などにおける理論値は、集計したマクロの値についてはバイアスがほとんどなく、誤差もほとんどない推計値をもたらす。その意味で政策評価にも十分に利用することができる精度である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は家計の税負担額について記入値と理論値の比較や双方の乖離を捉えながら理論値の妥当性を考察することである。初年度(平成26年度)は主に厚生労働省『国民生活基礎調査』の個票データを使用して取り組むことを予定し、その成果については年度内に論文としてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成27年度)は主に総務省『全国消費実態調査』の個票データを使用し、家計の勤労所得税・個人住民税について記入値と理論値の考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会の参加に伴う旅費分について、参加を見送ったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の助成金は主に物品の調達のほか、国内・国際学会等の参加に伴う旅費に充てる予定である。
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