本研究では、少子高齢化のもとでの財政政策と物価・金融政策への影響について明らかにすることを目的とする。
今年度は、まず、これまでの分析を大幅に改良した。本研究は、これまでにない視点からの分析であるため、読者に理解してもらうことが困難であった。そこで読みやすさをはかるために、論文の構成を抜本的に見直した。財政政策が外生のもとでの結果について、丁寧に議論することで、読者に理解しやすく誤解を受けないよう努める書き方とした。また、現実のデータ、特に過去40年の人口動態と各時点での予測値や、世代別投票参加率に関するデータなどを収集し、それに基づき、人口動態変化の物価・財政への影響をシミュレーションした。そして、日本の過去40年の変化はマイルドなデフレ要因となっていることを定量的に示した。
改訂論文は、"Aging and deflation from a fiscal perspective"(Mitsuru Katagiri and Hideki Konishiとの共著)として、米国ダラス連銀のワーキングペーパーとして刊行した。また、国内各所だけでなく、フランスParis School of Economicsなどにおいて、研究発表を行い多数の研究者からコメントを得た。欧米においては、いわゆる日本化の懸念から、少子高齢化やデフレという本研究で分析している事象が大きな関心事となっていることを改めて実感した。同時に、論文を外部ジャーナルに投稿し、現在審査を受けているところである。
|