研究課題/領域番号 |
26780177
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
上田 晃三 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30708558)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 物価水準の財政理論 / 少子高齢化 / デフレ |
研究実績の概要 |
本研究では、低金利・少子高齢化のもとでの財政政策とその物価、金融政策への影響について明らかにすることを目的とする。分析手法としては、失われた10年(20年)の背景について、「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of Price Level、以下FTPL)」を基礎とする。そして、研究の特色として、わが国経済をより良く捉えるモデルを構築するため、FTPLを以下の2点、世代重複モデルの利用および財政政策の内生化、で改良した。 得られた主な結論は、物価への影響は少子高齢化の要因により異なるというものである。出生率の低下はインフレ要因となる一方、高齢化はデフレ要因となる。現実の日本のデータ、特に過去40年の人口動態と各時点での予測値や世代別投票参加率のデータを用いたところ、後者の力が勝り、マイルドなデフレを説明できることがわかった。 研究の核となる論文はほぼ完成し、"Aging and Deflation from a Fiscal Perspective" (Mitsuru Katagiri and Hideki Konishiとの共著)としてワーキングペーパーになっており、また査読付きジャーナルに投稿中である。 同時に、国内外での研究報告も積極的に行った。2016年度は、一橋大学、ヘルシンキ大学、および、一橋大学政策フォーラムで発表をした。特に一橋大学政策フォーラムは、日本銀行政策当局者や民間エコノミスト、海外エコノミストなど大学の経済学者以外も招いた会議であり、そこに招へいされ発表したことは、本研究の評価を示すものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外部ジャーナルからの返答が2年近く来ないものの、予定通り論文が完成したほか、対外発表も継続的に実施している。
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今後の研究の推進方策 |
論文の発表を継続するほか、外部ジャーナルからの審査結果を受けて論文をさらに発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りに進捗している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、海外出張・研究発表などで使用する計画。
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