本研究では、低金利・少子高齢化のもとでの財政政策とその物価、金融政策への影響について明らかにすることを目的とする。「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of Price Level、以下FTPL)」を応用したモデルを構築することで、得られた主な結論は以下の通りである。物価への影響は少子高齢化の要因により異なる。出生率の低下はインフレ要因となる一方、高齢化はデフレ要因となる。現実の日本のデータ、特に過去40年の人口動態と各時点での予測値や世代別投票参加率のデータを用いたところ、後者の力が勝り、マイルドなデフレを説明できることがわかった。
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