本研究課題の目的は、人々がどのように期待を形成しているか、合理性からどのように乖離しているか(期待バイアス)、それらの乖離は経済行動にどのような影響を与えているかを明らかにすることである。分析の結果、①人々の期待が楽観的か悲観的かはその時々の経済状況に左右されること、②経済状況とは関係なく期待は自信過剰であることがわかった。これらは、期待が現状維持バイアスを持つと考えると、先行研究の結果も含めて統一的に解釈可能である。加えて、これらの期待及び期待バイアスがリスクのある報酬とない報酬のどちらを好むかに関する選択に影響を与えること、感情がこれら期待バイアスを発生させる一要因であることもわかった。
|