研究課題
若手研究(B)
本研究プロジェクトは2007年から09年にかけて生じた世界金融危機時に観察された事実を背景に、(1)なぜ金融機関は結果的に保有資産の投げ売りをしなければならなくなるほどの過剰なレバレッジ投資を行うのか、(2)政府・中央銀行による資産市場の介入(いわゆる非伝統的金融政策)は金融機関や保有資産の構成の異なる家計間でどのような効果をもたらすのかを考察した。
マクロ経済学
(1)に関して、均衡において金融機関によるレバレッジ投資と事後的な保有資産の投げ売りが生じるような理論モデルを構築した。具体的には、所得格差のような家計の異質性の存在が、金融機関にとっての裁定取引の源泉となりうることを数学的に示した。これは、世界金融危機に先立って米国で生じていた所得格差の拡大が、金融危機を引き起こすうえで重要な役割を果たしていたことを示唆している。