1905年度に塩専売制度は,歳入源の確保を目的に導入され,同制度の導入後に食塩価格は高騰した。このことは,世論の激烈な批判を招き,塩専売制度は日露戦争直後から存亡の危機に立たされた。そこで大蔵省は,塩専売制度の維持を目的とした制度運用の改善に努め,流通過程全般を自ら掌握した。そして,大蔵省は食塩価格低落と歳入源確保の両立を果たした。しかしながら,大蔵省は醤油醸造業者,漁業者など大口消費者らの原料塩に対する多様な嗜好を把握できていなかった。そのため,塩専売制度下では消費者らの嗜好に適さない食塩が供給されるようになった。
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