本研究では、東日本大震災によって疲弊した被災地の復興に向けて、文献調査と事例研究を行い、社会的企業モデルの国際比較プロジェクトに関連した被災当事者による社会的企業のモデル構築を目指した。被災当事者による社会的企業に関する文献を整理した。被災地での事例調査を継続して事例の収集と分析を実施した。 その成果として、被災地で社会的企業は大きな役割を果たし、例えば、緊急支援から時間とともにコミュニティ支援、就労支援、移住支援や人材育成の役割を果たしたことが明らかになった。 その後、東日本大震災の被災地における被災当事者らが設立した社会的企業の動向をもとにして、被災地で活躍する社会起業家に対して、被災地での新しい産業創出と雇用創出、地域産業に注目すること並びに被災地独自の観光ツーリズムの育成についての3つの提案を示した。 そして、研究成果をEMESやISTRなどの国際学会で公表するとともに、被災当事者らが設立した社会的企業への助言などを通じて研究成果を被災地に還元した。 なお、平成29年度は本研究のとりまとめとして、平成28年9月の国際社会イノベーション学会(ISIRC)の大会で研究報告を行った内容をもとに、国内外の有識者からのコメントを参考にして加筆修正することで、海外学術雑誌への投稿の準備を進めて、英訳及び英文校正を実施した。平成30年3月末現在、本研究の最終成果をまとめた論文を英文雑誌に投稿しており査読中である。
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