H28年度の研究実績の内容としては、本社と海外開発拠点間の知識移転を担う「逆駐在制度」の存在に注目し、本社からの駐在員制度が主であった今までの知識移転の限界を逆駐在員がどのように補いうるのかについて、製造業に属し、海外に開発拠点を持つ5社の日本企業の事例分析を通じて行った。逆駐在制度を活用してきた海外開発拠点が他と比べ著しい知識移転の効果を見せ、その結果として本社のグローバル事業をサポートする開発拠点として成長できたことを実証的に示すことができた。 H26年度からH28年度まで行った研究は、本社組織内部の阻害要因の解明、従来の技術移転の方法とその問題点、新たなアプローチの検討とその効果の実証と要約することができる。 研究の最終年度である平成28年度には、研究成果をまとめ国内・海外学会で発表しながら、海外ジャーナルへの論文投稿に主力した。2016年度中に研究報告を行ったのは、1.国際ビジネス研究学会関東部会(2016年4月16日)、2.AJBS (The Association of Japanese Business Studies)(2016年6月25、26日)、3.AIB (Academy of International Business)(2016年6月28日~30日)、4.EGOS(European Group for Organizational Studies)(2016年7月7日~9日)の4件であり、それぞれPreceedingsを提出し、そのあとの論文投稿も進めてきた。学会報告や論文準備を進めながら、関連分野の研究を進めている世界中の研究者と交流することができ、研究内容に対しても多くの有効なコメントをもらうことができた。
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