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2014 年度 実施状況報告書

先進諸国におけるホワイトカラー労働者の労働時間管理

研究課題

研究課題/領域番号 26780212
研究機関青森大学

研究代表者

渡部 あさみ  青森大学, 経営学部, 講師 (10723033)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード人事労務管理 / オーストラリア / 人事労務管理の柔軟化 / 労働時間管理 / 労働組合 / ワークライフバランス
研究実績の概要

1990年代以降、日本における正規ホワイトカラー労働者の長時間労働問題は深刻化してきている。長時間労働が深刻化する一方、ワークライフバランスの重要性が社会的にも認識されてきている。ワークライフバランス確立のためには、まず、長時間労働問題の解決が第一と言えよう。
本研究は、長時間労働問題解決へ向けた人事労務管理について、考察することを主たる目的としている。そのために、まず、1990年代以降の日本の長時間労働問題について、人事労管理の柔軟化の関係性を明らかにした。その研究成果は、2014年5月に開催されたビジネス・イノベーション研究所第57回研究会・所員会議、および、2014年9月に開催されたThe 12th International Federation of Scholarly Associations of Management World Congress in Tokyoで報告された。
日本の長時間労働問題の要因となっている人事労務管理の柔軟化であるが、他の国ではいかに人事労務管理の柔軟化が行われているのか。その手がかりを得るために、先行研究ではあまり対象とされてこなかったオーストラリアを対象に、実態調査を行った。まず、長時間労働問題と人事労務管理の柔軟化に関し、オーストラリアの状況を先行研究・先行調査の整理を行った。その後、オーストラリアのシドニーにおいて実態調査を行った。また、オーストラリア現地において、資料収集を行い、さらに先行研究・先行調査の収集を行った。
これらを通じて、日本の長時間労働問題解決へ向けて、オーストラリアの長時間労働問題への取組から、いかなる示唆を得ることができるのかについて考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先行研究、先行調査については、国内外の資料を取り寄せ、先進諸国の人事労務管理、とりわけ日本・オーストラリアの人事労務管理を中心に、レビューを行った。また、国内で紹介されているアメリカ、イギリスを中心とした人事労務管理の特徴についてもレビューを行った。先行研究・先行調査を通じて、オーストラリアで展開されている人事労務管理や、その問題点、日本の人事労務管理との違いや労働問題の様相の異同を明らかにした。オーストラリアの文献については、まだ不足するものもあるため、オーストラリア調査の際、今後も資料収集を継続する。
実態調査については、当初、2014年度中にオーストラリアの労働組合に対する聞き取り調査を予定していたが、予定を変更し、人事部への調査を中心に現地調査を実施した。労働組合に対する聞き取り調査は、2015年度以降に実施予定である。
2014年8月に、シドニー現地法人への聞き取り調査を行った際、人事関係の資料を入手することができた。インタビュー調査と人事資料をもとに、オーストラリアで展開されている人事労務管理の実態解明、および、日本の人事労務管理との比較を行っている。また、今後、より多くの企業の人事部・労働組合に聞き取り調査を行うため、現在調整中である。

今後の研究の推進方策

2014年8月のシドニー現地法人聞き取り調査では、人事労務管理の仕組みや、職場の問題をついて話を聞くことができた。また、人事関係の資料からは、雇用区分別の人員管理の変化や、評価の実態等について把握することができた。
2015年度以降は、その追跡調査をするとともに、またシドニー以外の都市にある企業について幅広く調査対象を設定し、より多くの企業に対する聞き取り調査を実施する予定である。
また、労働組合の現場規制に関する実態調査は、2015年度以降に本格始動する。労働組合がいかなる方針のもと、職場規制を行っているのか、人事部への調査と並行し、聞き取り調査を行う予定である。
こうした調査と並行しながら、文献研究も引き続き行う。文献研究、調査の成果報告は、学会報告、および論文の執筆を通じて、国内外に発信する。

次年度使用額が生じた理由

申請時に予定していた社会政策学会秋季大会(岡山大学)における学会報告を見送ったため、学会参加にかかる旅費および学会参加費を使用する必要がなくなった。そのため、学会参加のための旅費、学会参加費、および学会報告にかかる準備のために計上していた費用を使用せず、次年度へ繰り越した。
社会政策学会における学会報告を見送った理由は、次の通りである。第一に、初年度の研究成果として得られた結果は、企業の人事労務管理に関するものが主であり、労働問題にまで踏み込んだ報告にはならないと判断した。第二に、学会報告申請時が本研究を始めた段階であったため、十分な準備ができなかった。また、調査計画は立てていたものの、どれほどの調査結果が得られるかが不明確であった。以上の理由から、今年度における研究報告を見送った。

次年度使用額の使用計画

国内学会における研究報告のために予算として計上する。26年度に行ったオーストラリア現地調査では、人事部への聞き取り調査を通じて、オーストラリアにおける人事労務管理の実態を明らかにすることができた。この調査結果をもとに、労務理論学会において、企業経営の立場から見たオーストラリアの労働実態に関する研究報告を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The Changing Labour Flexibility in Japanese Workplaces2014

    • 著者名/発表者名
      Asami Watanabe
    • 学会等名
      The 12th International Federation of Scholarly Associations of Management World Congress in Tokyo
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      2014-09-02 – 2014-09-04

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公開日: 2016-06-01  

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