本研究は、企業間における投資期間の時間的志向の違いが、両社の企業間提携の一形態であるジョイント・ベンチャーのパフォーマンスにどのような影響を与えるかについて、日本の上場企業を対象として統計的分析より明らかにすることを企図している。本年度の実績としては、1991年から2011年までの日本の上場企業を対象とし、企業の減価償却の傾向から測定した投資期間の時間的志向に基づき、ジョイント・ベンチャーの親会社間の時間的志向の差異を測定し、そのジョイント・ベンチャーへのパフォーマンスを推計した。親会社間の時間的志向の際は、有意に負であることが見いだされた。また、この傾向は、1990年代よりも、より経営における不確実性が高い2000年代のほうが高いことが見いだされた。 また、投資期間における時間的志向が長いと考えられてる創業者一族に率いられている同族企業においては、海外進出時の所有形態の選択において、ジョイント・ベンチャーではなく、完全子会社をより選択する傾向が強いことが、1996年から2007年までの日本の電機産業に属する上場企業を対象とした統計的分析により明らかとなった。この結果は、投資期間の時間的志向が自社と異なる可能性のある企業との提携を避ける傾向を示唆していよう。 今後の研究の展開としては、企業間の投資期間の時間的志向自体がジョイント・ベンチャーのパートナーの選択に影響を与える可能性を考慮し、その影響をコントロールした上でのパフォーマンスへの影響を分析することで、より精緻な推計が可能となろう。また時間的志向が親会社両社とも長い場合もしくは短い場合のジョイント・ベンチャーのパフォーマンスへの影響を分析することで、投資期間の時間的志向についてより大きな理論的貢献が実現できよう。
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