研究課題
これまでの研究において、研究開発人材のどのような意識・志向が研究成果を高めるかに関しての検証がなされているが、研究開発人材の意識と研究成果向上を結びつける行動である「創造的行動」には焦点が当てられた研究は少ない。研究開発人材マネジメントの観点から彼・彼女らの創造的行動促進要因を明らかにすることは重要であるといえる。そこで、本研究では日本企業の研究開発組織・人材を取り上げ、創造的行動を促進させる要因(組織的要因・個人的要因)に関する実証研究を行った。その結果、研究開発人材の海外経験は彼・彼女らの仕事上の対人・対情報ネットワークを活性化させる可能性が示唆された。また、社内外の他者への説明能力に関する自己効力感に対して企業入社後の留学が(相対的に)効果を持つ可能性が示唆された。これらの結果より、研究開発人材の海外経験の有用性の一端が明らかになった。また、人事異動や組織風土といった組織的要因が研究開発人材の能力・創造性向上に効果をもたらすことも示唆される結果も得られた。今後は、本研究期間内に十分な考察に及べなかった上記の個人的要因と組織的要因の相互(相乗)効果についても分析を進め、研究を進化させる必要がある。今後の課題点はいくつか存在するものの、研究開発人材の創造的行動を促進させる要因分析、そしてグローバルR&Dの潮流を踏まえて海外経験の有用性を指摘できたことは本研究の意義であるといえる。
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Journal of Japanese Management
巻: Vol.1, No.1 ページ: pp.27-43