研究課題/領域番号 |
26780226
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
鄭 有希 立命館大学, 経営学部, 准教授 (00468828)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エンゲージメント / 高業績人的資源管理 / 多階層(マルチ・レベル)分析 |
研究実績の概要 |
従業員のエンゲージメントに関する研究テーマのもと、2014年度では先ず、従業員のエンゲージメントの形成要因を明らかにするために、徹底的な文献レビューを行い、仮設モデルの構築のために、日本の製造業に勤めている正規社員を対象にパイロット調査を行った。 その結果、Kahn (1990, 1992)の理論を支持する結果として、以下の3つの条件を満たすことにより、従業員は仕事にエンゲージメントをすることが明らかとなった。その条件とは、(1) 仕事上の役割に自己を投入することは、意味があると感じる(有意味感)、(2) 自己イメージやキャリアなどでネガティブな結果を恐れることなく、安心して自分を表現できると感じる(安心)、(3) 仕事を遂行するために必要なリソース(技術、知識、能力)を自分が持っていると感じる(可用性)ことであった。 上記の結果の一部は、国際学会(Academy of Management, European Academy of Management, Advances in Business-Related Scientific Research Conferenceなど)において報告された。特に、イタリアのミラノで開かれたAdvances in Business-Related Scientific Research Conferenceでは、Best paper awardを受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度の計画では、文献レビュー、インタビュー調査、仮説の設定、及び予備調査の実施であったが、おおむね計画通り進めることができた。しかし、企業の人事担当者を対象に計画していたインタビュー調査は、当企業の事情により、実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度の研究に引き続き、2015年度には、(1) 従業員のエンゲージメントの先行要因である3つの心理状態(有意味感、安心可用性)を満たす人的資源管理施策(組織レベル要因)とはどのようなものであるか、(2) (1) で特定化された「人的資源管理施策」は、従業員のエンゲージメント、従業員の成果(職務成果、組織市民行動、チーム成果など)及び企業業績(ROA, ROE, 労働生産性など)との関係にどのような影響を与えているかの2点である。とりわけ、本研究では、2課題について従業員のエンゲージメントを促進する人的資源管理施策の特定化とその効果測定を縦断的調査デザインに基づいて時系列的データ分析を行うことを研究の目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に実行した研究費用のうち、英語論文校正の費用(その他)が少し安い値段で実行されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の助成金と合わせて、英語論文校正に実行する予定である。
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