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2014 年度 実施状況報告書

技能系老舗同族企業における存続と衰退に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26780227
研究機関帝塚山大学

研究代表者

曽根 秀一  帝塚山大学, 経営学部, 講師 (70634575)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード老舗企業 / 同族企業 / 鋳造業 / 国際情報交換 / 企業家精神 / ビジネスシステム / 存続 / 衰退
研究実績の概要

本研究目的は、①わが国に残存する明治維新を乗り越えてきた老舗鋳造企業群へのフィールド調査に基づいた比較分析及び国際比較を通じて、技能系老舗企業の存続と衰退の要因について明らかにすること、②存続の場面における企業家精神の発現メカニズムについて明らかにすること、③老舗企業研究、同族企業研究の通説に対し新たなオルタナティブを提起することにある。既存の老舗企業研究では、経営者や市場(顧客)についてほとんど着目されず、議論の対象にあげられてこなかった。このことから、老舗企業を取り巻くステークホルダーとの関係において存続するプロセス及び老舗企業の経営者の実践に注目することで、存続と文化の関係性を再構築していくことを目的としている。経営学とりわけ老舗企業、同族企業(ファミリービジネス)研究の各研究領域を包括した先端的な議論であるため、わが国の経営学に対する大きな貢献が期待できると考える。
本年度は、これらの準備として、関連する先行研究レビューを行った。本研究の基本となる老舗企業論や同族企業論だけではなく、鋳造業及びその関連業界、企業についても文献調査、再検討を行った。
加えて、わずかに残存する国内外の鋳造企業群へのインタビュー調査、一次資料の収集調査も行うことができた。尚、途中経過ではあるものの現時点で、明らかになったことを簡単に以下にまとめる。①国内外を問わず、鋳造業は、企業の存続、技能の伝承が非常に困難であった。②鋳造業を維持していくために人材育成が非常に重要であり、各企業ごとに事業承継のための工夫が行われていた。③地域(国)によっては、同族経営に拘らず企業の売買が盛んに行われていた。④組織内だけではなく、ステークホルダーとの関係も重視していた。これらの点をもとに、次年度はさらに調査を本格化させていくが本年度の研究は今後の研究において重要な基盤になったと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体的に順調に進展している。とりわけ、既存研究の収集、検討、調査対象企業へのフィールドワークも順調に行われている。また、対象企業の関連企業(技能系企業)やステークホルダーへの調査も順調に進んでいるため、当初の予定よりも大きな成果が期待できる。
また、国内外の査読付き論文への投稿や学会報告も同時並行的に行い、すでに公刊されるなど、成果のアウトプットも順調に進みつつある。
しかしながら、予算ならびに時間の制約上、すべての企業への調査に赴くことができなかったため、おおむね順調に進展しているという評価を示した。総合的に、初年度として、非常に順調な進展であったと考える。

今後の研究の推進方策

上記にもあげたように、予算ならびに時間の制約上、平成26年度には調査できなかった企業がまだ残っている。このため、平成27年度は、アポイントメント及びパイロット調査済みの企業への訪問を行う予定である。また、すでに調査済みの企業などからも協力の確約を得ているため、逐次相談等も行っていく。くわえて、共同研究者でもある国内外の同分野の研究者とも情報交換を行っていく。
今後は、企業訪問ならびに、鋳造業の経営形態、組織構造、コーポレート・ガバナンスの差異について、その地域や文化にも着目しながら研究を進めていく。
さらに、これらの成果を国内外の関連分野の学会等において報告を行っていく予定である。現在投稿中の国内外の学会誌の公刊作業はもちろんのこと、新たな投稿ならびに再検討も含めて、より発展した成果を示していく。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] わが国生産拠点の海外展開と国内回帰2015

    • 著者名/発表者名
      曽根秀一・吉村典久
    • 雑誌名

      和歌山大学経済学部Working Paper Series

      巻: No,15-02 ページ: 1-23

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 秩序構築主体としての企業家-株式会社千金堂の事例分析を通じて-2015

    • 著者名/発表者名
      高橋勅徳・曽根秀一
    • 雑誌名

      イノベーション・マネジメント

      巻: 12 ページ: 67-82

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cultural Approach to Understanding the Long-Term Survival of Firms: Japanese Shinise Firms in the Sake2015

    • 著者名/発表者名
      Innan Sasaki・Hidekazu Sone
    • 雑誌名

      Business history

      巻: 57 ページ: 1-17

    • DOI

      10.1080/00076791.2014.993618

    • 査読あり
  • [学会発表] Study of e-business strategy in Japanese Family Business and Long-Established Companies2015

    • 著者名/発表者名
      Hidekazu Sone・Mei-Hua Liao
    • 学会等名
      SMEUCE 2015
    • 発表場所
      Regional University of Blumenau (Blumenau, Brazil)
    • 年月日
      2015-07-09 – 2015-07-09
  • [学会発表] 長寿企業の伝統と革新-経営戦略論、組織論、史的な観点から-2015

    • 著者名/発表者名
      曽根秀一
    • 学会等名
      帝塚山大学公開講座
    • 発表場所
      帝塚山大学学園前キャンパス(奈良県奈良市)
    • 年月日
      2015-02-14 – 2015-02-14
    • 招待講演
  • [学会発表] Study of e-business and long-established companies in Japan2014

    • 著者名/発表者名
      Hidekazu Sone・Innan Sasaki
    • 学会等名
      SMEUCE 2014
    • 発表場所
      Birmingham City University (Birmingham, UK)
    • 年月日
      2014-07-03 – 2014-07-03
  • [学会発表] 世界最古の企業 金剛組2014

    • 著者名/発表者名
      曽根秀一
    • 学会等名
      日本ファミリービジネスアドバイザー協会FBAAセミナー
    • 発表場所
      銀座フェニックスプラザ(東京都中央区)
    • 年月日
      2014-05-23 – 2014-05-23
    • 招待講演
  • [学会発表] 超長寿企業の存続メカニズム2014

    • 著者名/発表者名
      曽根秀一
    • 学会等名
      神戸商工会議所 「経営者のためのMBA講座」
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル (兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-04-17 – 2014-04-17
    • 招待講演
  • [備考] 帝塚山大学経営学部経営学科ニュース「曽根先生が日本ベンチャー学会の論文部門奨励賞を受賞されました!」

    • URL

      http://www.tezukayama-u.ac.jp/faculty/business_administration/news/2014/12/12/post-122.html

  • [備考] 帝塚山大学教員紹介データベース

    • URL

      http://www.tezukayama-u.ac.jp/teacher/gyoseki/970000.html

  • [備考] 静岡文化芸術大学文化政策学部教員紹介

    • URL

      http://www.suac.ac.jp/education/teacher/culture/sone.html

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公開日: 2016-06-01  

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