平成28年度における研究成果は、以下の通りである。 本研究課題に基づき、前年度までの文献研究、理論研究を継続して行い、さらに、国内外におけるフィールドワークの追加を行った。また、理論研究については、組織の存続と衰退に関わる国内外の先行研究及び本研究の基礎理論である経営組織論、資源動員論の検討を通じて、本研究の分析枠組みの再構築を行い、研究をより進めた。そのうえで、とくに平成28年度は、わが国と同様に、鋳造企業が多く生き残りをみせているドイツに赴き、以前行ったドイツでの企業調査に加えて、さらに2社を追加調査し、資料収集のみならず、経営者にインタビューを行うことが出来た。また、補足として同じ技能系である老舗刃物企業3社を訪問し、同様に経営者などから貴重な情報を得ることが出来た。 こうした上記成果を通じて、日本、ドイツ、イギリス、イタリアの技能系老舗企業の特徴を見出すことが出来たとともに、理論的な枠組みにも当てはめることのできる重要な成果を得ることが出来た。また、関連した研究者とも頻繁に意見交換を行うことで、詳細な分析成果を得られた。 これらの情報をもとに、老舗企業研究ならびにファミリービジネス、地場産業をテーマに、複数にわたる、著書及び論文等の執筆、国内外における学会報告など、多くの研究成果を提供できたと考える。 こうした研究成果は、これまでの老舗企業論やファミリービジネス研究では深堀されてこなかった部分であり、今後の研究発展において、ひとつのサインポストを示せたとともに、当該分野の研究発展に貢献できたと考える。
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