本研究は,異文化下において有効な人的資源管理(HRM)モデルを明らかにすることを目的に行われた。文献調査による理論研究と事例調査および質問票調査による実証研究の結果、次の点が明らかとなった。第一に、HRMの構成要素である職務特性が従業員の態度に及ぼす影響が,国レベルの文化的特性に応じて異なることである。第二に,HRMによって形成される職場の関係性がHRMの成果を規定していることが示された。第三に、社会的意義や社会的影響力といった職務の関係的・対人的側面が、HRMと組織成果との関係を媒介する要因となっていることも明らかとなった。
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