研究課題/領域番号 |
26780235
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
長谷川 翔平 法政大学, 経営学部, 講師 (30712921)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マーケティング・リサーチ / 消費者行動 |
研究実績の概要 |
マーケティング・サイエンスの研究分野では,消費者の購買履歴データを用いて,消費者間の異質性だけでなく,時間異質性として過去の購買・消費経験が現在の行動に与える影響について様々なモデルが提案されてきた。しかし,将来に対する期待が現在の購買に与える影響を考慮した研究は少ない。本研究の目的は,第1に現在の購買に影響を与える要因として過去の状態だけでなく,将来の効用・期待を考慮した消費者購買行動モデルの開発にある。第2に行動経済学などにおける消費者行動理論を実データによる実証分析で検証することである。 上述の通り,本研究では将来時点での期待や飽きが現在の購買にもたらす影響を検証することにある。平成26年度は,期待や飽きの形成される構造を過去の購買履歴データからモデル化することを試みた。具体的には,過去の購買・消費経験から飽きが形成される構造について検証した。同時に,飽きにより製品に対する選好が変化する構造のモデル化を行った。 また,製品サンプルを用いた購買テストデータと実際の購買履歴データの2種類のデータに提案モデルの適用し,パラメータの推定・結果の考察を行った。前者のテストデータでは良好な結果が得られた。しかし,後者の実際の購買履歴データについては,まだ検証の余地が残されており,現在さらなるモデルの改善を行っている途中である。 今後は,平成26年度にモデル化した飽きの構造を元に,消費者がどのように将来の期待や飽きを評価・予測し,現在の購買意思決定を行っているか検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度4月より現大学へ赴任したことにより,申請時から所属・身分等が変わった。それにより,教育に関する職務が増加し,想定していた研究課題へのエフォート(15%)を維持することができなかった。申請時の予定では,モデル構築を行い,データへの適用と考察を行う予定であったが,実際には,先行研究等の文献調査とモデル構築を中心に進めた。
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今後の研究の推進方策 |
課題申請時に想定していた,本研究の仮定する消費者像は2種類ある。第1は「将来の状況を考慮して消費計画を立て,それを修正することなく実行する消費者」である。例えば,今月の給与日に1ヶ月間の食料品購買計画を立てて,その通り実行する消費者が考えられる。第2は「将来の状況を考慮して消費計画を立て,状況の変化に応じて消費計画を修正する消費者」である。平成27年度では,前者の消費者像を仮定したモデル化を行う予定である。より一般的な消費者ではあるが,複雑な仮定を持つ後者の消費者像のモデル化についても,研究の進捗に合わせて行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究が想定していた達成度まで達しなかったことにより,研究打合せや学会発表のための旅費への支出が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は研究の進捗を進め,積極的に学会等で研究内容の発表を行っていきたい。
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