研究課題/領域番号 |
26780238
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
西原 彰宏 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (10634272)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バラエティ・シーキング / 製品関与 / 消費者関与 / 探索行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、特定の製品カテゴリーに対する興味関心が高い状態(高製品関与状態)で生起する消費者のバラエティ・シーキング(多様性追求)を体系的に捉えるため、その理論枠組みを構築し、その精緻化を図ることである。その背景には、先行研究におけるバラエティ・シーキングは、ブランド・スイッチングといった目に見える顕在的行動としてみなされてきた点が挙げられる(e.g. McAlister and Pessemier 1982)。しかし、研究の発端となった心理学の探索行動とその動機づけに関わる研究を踏まえると、バラエティ・シーキングは探索行動の1つであり、認知的な行動、内的あるいは心的プロセスである点が見過ごされてきた。そのため、バラエティ・シーキングを探索行動として捉えなおすことで、消費者が製品カテゴリーにおいて多様性を追求するというバラエティ・シーキング本来の行動あるいは現象をより体系的に捉えることができるとの認識に至った。
以上の問題意識に基づいて、本年度の計画は、先行研究についての文献研究を中心としつつ、適宜、探索行動としてのバラエティ・シーキングを捉えるためにWeb 調査実験システムを用いてバラエティ・シーキングと情報探索の関係の把握、非食品を対象とした探索行動としての高製品関与型バラエティ・シーキングの実態の把握を行うことであった。文献研究においては、関与概念に関する研究において、製品関与や個人的(自己)関連性は消費者と製品の繋がりを意味する非常に重要な概念であり、本研究において高製品関与型バラエティ・シーキングの理論枠組みの精緻化を図るうえで、重要な概念であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では平成26年度中に、文献研究を中心にしつつ、適宜、1.Web 調査実験システムを用いてバラエティ・シーキングと情報探索の関係の把握、2.非食品を対象とした探索行動としての高製品関与型バラエティ・シーキングの実態の把握を行うことであった。文献研究についてはおおむね順調であるが、調査に関しては、いずれもH27年度に実施することとなった。理由として、1.の調査に関しては、過去に実施した調査データを情報探索の観点から再度分析を行い、より有効なWeb 調査実験システムの構築に専念したため、2.の調査に関しては、製品カテゴリーの選定ならびに尺度の見直しを行ったためである。その結果、現在は当初の予定に比べやや遅れ気味である。27年度の段階で遅れを取り戻すべく、スケジューリングならびに細かな調査設計を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度については、初年度の文献研究の成果を活かしながら、1.Web 調査実験システムを用いてバラエティ・シーキングと情報探索の関係の把握、2.非食品を対象とした探索行動としての高製品関与型バラエティ・シーキングの実態の把握を行っていく。加えて、購買パネル・データを用いたバラエティ・シーキングと実際の購買との関係の把握についても、あわせて行っていく予定である。 その際、特に製品を対象とした高関与行動であるコレクターや熱狂者に関する研究において、取り上げられてきた概念や枠組みが本研究においても有用であると思われるため、その文献研究を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度については、「次年度使用額」が生じた。理由は、平成26年度中に実施予定の調査2つを27年度に実施することとなったためであり、それに応じて、各費目での未使用分が生じた。したがって、次年度は、この金額を27年度に実施する調査に充てることにする。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、平成26年度中に実施予定であった調査2つを実施する。それに応じて、調査会社への購買パネル・データを提供いただく際の謝礼に加え、データの整理などにアルバイトを雇う予定である。また、Web 調査実験システム「SEN」の開発を行った先生、その委託先である開発会社との打ち合わせのために旅費に充てたいと考えている。
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