研究課題/領域番号 |
26780245
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
明神 実枝 中村学園大学, 流通科学部, 准教授 (60461480)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 持続可能性 / 社会共生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、企業の社会的責任の中でもサスティナビリティ理解(持続可能性)の確立に焦点を当て、その本質的な生成メカニズムを明らかにすることにある。そのために、サスティナビリティ・マーケティングがエコ・マーケティング理解を基盤に議論されてきたことを指摘し、両者が同様の限界を内包していることを明らかにし、次に代表的な事例を歴史的に分析することであった。 平成28年度は、平成27年度までの成果を踏まえて、「企業の社会的責任(CSR)」に関する実践と研究の動向を調査してきた。結果、①1960年代以降の企業の社会的責任についての議論は、「利益追求である」から「社会貢献することである」へと考え方が変化してきたことが捉えられた。②さらに、今日では「利益追求」と「社会貢献」を分けずに、「企業は社会的課題をビジネスにより解決すべきだ」とする考え方が台頭していることが明らかになった。③そうした最新の考え方について、「社会共生」概念の観点から、代表的な事例であるトヨタのプリウスの実践を考察し、サスティナビリティの価値は企業による社会との対話の中で生成されてきたことが明らかになった。その背後にあったのは、企業による社会や未来への視点であった。こうした視点を持つことによって、企業にとって社会・環境問題は社会貢献の機会だけではなく、未来需要を予期して備える戦略の起点となり得ることが伺えた。④また、「社会共生」概念を起点としてマーケティングを再検討した際に、従来のマーケティング理論は顧客満足を前提とするために社会への視点に欠けていることが指摘できる。そして、顧客創造を前提としたマーケティング理論への注目が促され得る。この点についての理論的整理は今後の研究課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
欧州市場における事例の調査において、選定していた調査対象企業の情報収集が予定より遅れていることから、新たな調査対象の選定も同時進行で行なっており、時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策として、サスティナビリティ理解の確立に関して、欧州市場における実践と理論の調査を継続する。また、サスティナビリティ・マーケティング理解の視点からマーケティング・マネジメントの理論を再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州市場における企業実践の調査を予定していたが、選定していた調査対象企業の情報収集が遅れ、調査のための海外出張を実施することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
選定していた調査対象企業の情報収集を継続する。この情報収集が引き続き困難を極める場合に備えて、新たな調査対象企業を選定して調査する。まず国内での情報収集を行い、必要に応じて調査のための海外出張を実施する予定である。
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