研究課題/領域番号 |
26780246
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
杉本 宏幸 福岡大学, 商学部, 准教授 (90389338)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 卸売業者 / 小売業者 / 空間競争 / 効率性 |
研究実績の概要 |
平成27年度に実施した卸売業者の効率性と小売構造に関わるモデル分析を再検討し、パラメターを整理した。卸売企業が複数の取引先小売業者とともに大規模卸売業者と競争する構図を分析した研究(杉本・中西 2002)を基礎に、複数の小売市場へ拡張したモデルで、卸売業者の効率性が高い(低い)とき、取引先である中小小売業者の数が多く(少なく)なる結果を得ている。 このモデル分析の妥当性は、平成27年度に引き続き、センサスと事例を通じて実証的に検討しようとしている。食料品分野に関する都道府県単位のデータから、飲食料品卸売業の従業者一人あたり年間商品販売額という意味での活動効率が高くなると、売場面積20平方メートル未満の飲食料品小売店の人口あたり事業所数が減少する結果が、クロスセクションの分析で1988年および1994年から2007年までの期間で得られた。この結論は杉本(2016)としてとりまとめた。これに加え、全国物価統計調査を使用して都道府県の都市単位での食料品分野9カテゴリー・26ブランドについて、卸売業者の効率性と業態別小売粗マージンの関係を1987年と1992年のデータで検討した。これは、モデル分析に基づくデータ解析を異なる集計水準へ拡張した研究である。1987年から1992年にかけて食品スーパーは店舗数増加、取引先との関係の中で事業規模の拡大では利益をとりにくくなったことが示唆された。この結果は日本マーケティングサイエンス学会第98回大会で報告した。これらデータ解析の結果とモデル分析との整合性については、平成28年度に改めて検討する予定である。 事例分析については、行政機関に対する訪問してヒアリング調査を一度実施し、ヒアリングを通じた現状把握につとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
モデル研究は平成27年度中に論文にまとめる予定だったが、共著者と再度検討した結果、結論に大きな変更は無いものの、モデルに含まれるパラメターを整理して分析結果を再確認すべきとの結論に至ったため、平成27年度中には終了せず、これは平成28年度へ延期した。 センサスを用いた分析および行政機関へのヒアリング調査は、ほぼ予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
モデル研究は平成27年度終了時点で論文執筆中であるため、平成28年度に完成させる予定である。 センサスを用いた分析は計画通り行うことを予定している。 行政機関へのヒアリングは、平成27年度のヒアリングでヒアリング対象者二名が人事異動となっていたことが明らかになった。今後は、可能な範囲での協力を願いつつ、地域と事業者の利益を損ねることの無いように公開可能な情報の範囲を協議しながら推進予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究が遅れたため、予算が執行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に旅費および物品費として執行する予定である。
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