研究課題/領域番号 |
26780250
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
妹尾 剛好 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (60610201)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 会計学 / 管理会計 / マネジメント・コントロール・システム / 両利きの経営 |
研究実績の概要 |
近年、探索と深化という2つのタイプの組織学習を同時に実践する、「両利きの経営」の重要性が指摘されている。この両利きの経営を実現するためには、中長期的なバランスト・スコアカード(以下「BSC」と略)や短期的な予算管理といった、複数のマネジメント・コントロール実務(以下「MC実務」と略)について、コンテクスト要因と適合し、内的に一貫したマネジメント・コントロール・システム(以下「MCS」と略)を設計・活用する必要がある。本研究の目的はコンティンジェンシー理論に基づき、探索と深化をバランスさせるMCSを実証的に分析することである。 本研究は最終的にはサーベイ研究によって、探索と深化をバランスさせるMCSを実証的に分析することを目的としている。本年度はその前提として、MCSと両利きの経営に関する文献レビューを行った。また、いくつかの企業に対しフィールド研究を実施し、BSCと予算管理、及び探索と深化に関する活動の実態を明らかにした。このフィールド研究の成果の一部は、学会発表として報告した。 つぎに、過去に実施した質問票調査の結果を用いて、MCSと関連するいわゆる「日本的管理会計」と、探索、深化、及び両利きの経営の関係について、予備的な分析・考察を行った。この研究成果の一部も、学会発表として報告した。 さらに、MC実務のうち、特にBSCに着目して、その本質と効果を明らかにするための実験研究を行った。この研究は今後のさらなるフィールド研究、最終的なサーベイ研究における構成概念や分析フレームワークの構築に資すると考えられる。この研究成果の一部は、学会発表及び雑誌論文として報告した。 以上のように、本年度の研究により、重要な構成概念の明確化と妥当な測定尺度の開発が、かなりの程度進捗した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献レビューとフィールド研究だけではなく、予備的なサーベイ研究と実験研究という別の研究方法も取り入れることにより、重要な構成概念の明確化と妥当な測定尺度の開発は、当初の研究目的を達成するために順調に進捗している。ただし、フィールド研究の調査対象が、当初予定していた数よりも現状では少ないことは対応すべき問題である。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、現状ではフィールド研究の調査対象が少ないことが課題である。そのため、今後は可能な限り多くの企業に調査依頼を行う。また、本年度実施した実験研究など、別の研究方法と組み合わせることによって、数が少ないことの限界を克服することも目指す。
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